先日、私たちは早稲田美容専門学校を訪問し、天久先生に貴重なお話を伺いました。現場のリアルな声から、これからの美容師に必要な視点や、学生たちの就職活動の本質について深く考えさせられる内容でした。
◆「会社理念」は決め手じゃない——美容学生の就職観のリアル
「美容学生は会社理念では就職先を選ばない」。冒頭から飛び出したこの言葉に、私たちはハッとさせられました。
確かに、四年制大学の就職活動においては「企業理念」や「社会的意義」が重要視されますが、美容学生はもっと“自分ごと”で就職先を見ています。大事なのは「どんな人と働くか」「自分が続けられそうな環境か」。
——つまり、美容師を目指す学生たちは「どんな組織に属すか」ではなく、「どんな自分になれるか」を基準に進路を選んでいるのです。
◆美容師=タレント? 個人の人気と発信力が価値を生む時代
天久先生は、美容師を“タレント”のような存在と捉えています。
「人気がある人に仕事が集まり、稼げる世界なんです。いまは技術だけではなく“発信力”が不可欠です。SNSでの発信は、カット練習と同じくらいの重要な仕事。」
この言葉の通り、今や“上手い美容師”より、“選ばれる美容師”になるためには、「何をどう伝えるか」が大切です。リピーター獲得は技術、でも新規集客は発信。ここを履き違えて努力しても、成果にはつながらない——非常にリアルで、鋭い指摘でした。
◆“言われた通りに切る”美容師は、もう選ばれない
「20センチ切って」と言われた時に、“どうしてですか?”と聞けるか
——それが、美容師としての価値を決める。お客様の背景や本音に寄り添い、“本当に必要な提案”ができる人こそ、選ばれる美容師であり、価値ある存在。
この「提案力」「引き出す力」こそ、技術力と並ぶ、いやそれ以上に重要な軸だと先生は語ります。
M.SLASHがアカデミーで掲げている「技術力」と「人間力」の両輪が、まさにここにつながっていることを再認識しました。
◆SNS時代の就活は、「楽しさ×訴求」のバランスがカギ
学生の就職活動の“入口”は、Instagramが断トツ。最新のデータでも、約70%の学生がSNSをきっかけにサロンを知っているとのこと。しかも、SNSは「情報収集の場」であると同時に「遊びの延長」で見ているという事実。
「SNSで企業の真面目なメッセージばかり出しても、見ている学生には届かない」と天久先生。面白くて、ちょっと遊び心のある投稿の中に、しっかりと自社の魅力や学生の活躍を織り込む——そんな“バランス感覚”が求められています。
◆「価値」を伝える発信へ——私たちが学んだこと
今回の訪問を通して、改めて“価値の伝え方”を見つめ直す機会となりました。
「見た人の心に残るSNSとは?」「美容師の“価値”とは何か?」「発信の目的は何か?」。私たちが日々発信するメッセージにも、その問いを乗せていきたい。そう感じさせられる、まさに“原点”に立ち返るような対話の時間でした。
天久先生、本当にありがとうございました。
※本記事は、社内および美容学生の皆様への共有を目的として掲載しております。
早稲田美容専門学校
天久 博一副校長/スクールカウンセラー
スクールカウンセラーとは
カウンセリングの発想や技法を、学級運営や授業、学生指導、進路指導などに展開するプロフェッショナル。つまり、教育とカウンセリング両方になじみのある専門教育者です。早稲田美容では教員全員が日本教育カウンセラー協会ピアヘルパーの資格を取得しています。