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COMPANYKISHII’S COLUMN

KISHII’s COLUMN岸井コラム

情緒と合理性のバランス

昨年末から「識学」というロジックを取り入れて、
今まで会社に欠けていた組織運営の弱みを、強化しようとしています。
人間は情緒で動く部分と、仕組みと合理性で動く部分、
二つの要素があります。

組織においてもそれは同じです。
理念やビジョンは、共感性や連帯性を生むもので、
それがないと組織は烏合の衆となります

同時に、それぞれの役割、
責任、目的、報酬、評価といった仕組みがなければ、
分かりにくくなり、なんとなく気分で動いているような
集団になってしまいます。

組織の始まりは、だいたいリーダーの強い想いに始まって、
情緒的な繋がりをベースに発展してゆくものです。
社員が増え、ある段階からそのままでは、組織が発展しづらくなって
仕組み、ルール、立場、責任といった
組織の建て付けや、明確な役割責任分担が必要になります。

それまで、あいまいで適当で済ませたものが、適当では済まなくなり、
合理性と有益性という観点から仕組み化していくという
ステップを踏むことになります。
それは、従来の感覚からすると、ややこしく、煩わしく、窮屈なものだったり、
人によっては、分かりやすく、スムーズで成果に向けたシンプルなものだったりします。
誰にとっても良い万能な方策は無いのが現実です。

「情緒」と「合理性」という二つの側面は、
人間の右脳と左脳のようにバランスして性能を発揮します。
文系が強い、とか理系が強いとかいうのもそうかもしれません。
技術畑で育つ人と、営業畑で育つ人では、
視点が違うからケンカになったりします。
どちらかが、強みであったとしても
組織として、成長、発展を目指して進むとなると、
不足を埋め、誰かの力を借り、
長所を活かして、更新し続けることが運命づけられます。
常に相矛盾するものをつなぐのが経営です。

成長、更新には痛みとリスクが、
安定と、秩序には、退化のリスクが、
どちらにしてもリスクがあり
覚悟を決め、優先順位を決め、進路を決め、舵取りをします。

激しく回るコマは、ものすごい遠心力が働いて
中心が定まっているから回転し続けることができるように、
会社組織も中心に理念やビジョンと、
外へ外へと向かう遠心力のバランスで成り立ちます。
コマが止まれば、倒れる時です。

M&Aで新規事業を始めるのも、敢えてなんでリスクを犯すのか。
専門店の出店によって、どれだけの損失をカバーできるのか。
なんで、そんな金額を払ってまで、外に人材を求めるのか。
土地、不動産を買うことによって、キャッシュの流出はどれだけのリスクになるのか。
見えない先に手を伸ばすことが、どれだけの危険を覚悟した挑戦になるのか。
既存事業の成長性をどれだけ担保できるのか。
将来のことは誰にも分かりません。

だけど、野心を持って挑むからこそ、協力者の支えが生まれ、
希望や楽しみを感じてくれる人が現れ、
新しい景色が見えてくるのです。