寄り道、みちくさは、楽しい。
ゴールを決めたらそこへ
最短距離で最短時間で
行こうみたいな感覚があって、
マラソンは順位を競ってタイムを縮めるのに、
自分の可能性を試し、ひたすら頑張って努力するみたいな。
でも考えたら、
それはそもそもが「遊び」でやってることで、
1位をとるためにやってるわけではない。
サブ4、とかサブ5とか目標は決めるけれど、
思い通りいかないこともしばしば。
悔しさがあったり、でも
そこへ向かっていくプロセスが苦しいけど楽しい。
自分の身体の変化を感じれたり、
それまでと違った景色を見れたり。
それは、旅しているような感覚で、
旅の途中を生きている実感がある。
旅は、目的地を決めるけれど、
その途中の寄り道、道くさが、
また、楽しい。
砂漠250kmマラソンレースは、距離が長いから
途中で前にも後ろにも人が見えなくなる。
草がけや、岩かげのちょっと高い場所を見つけては、
腰を下ろして煙草を吸い休憩をしていた。
背中のザックが、ちょうどリクライニングの背もたれになって、
空を見上げ景色を味わっていると、
それまで、見えなかった後ろのランナーが現れては前を通り過ぎる。
座って、それを眺めている状況になんとも言えず、
至福な気分を感じていた。
「待ってろ、そのうち追い抜いてやるから」
心の中でつぶやく。
通りすぎたランナーがだんだんと遠く、小さくなっていく。
レース途中で、岩かげで休憩している気分は、
まさに道くさだった。
背中には10kgのザックを背負い、
一日に40km以上の距離を6日間続け移動する、毎日8時間。
途中歩いても、休憩しても
リタイアしなければゴールには辿りつく。
サハラでの5日目のステージでは、
90kmの距離を36時間かけてゴールした。
最終ランナーをみんなで迎えて拍手を送ったあの感動は忘れられない。
旅は道づれ。
道草、寄り道があるから、
また次へと向かいたくなる。