3年前、上場を目指すと決めた時は、
そこへ行くのにどれだけの問題があるのか、見えていなかった。
具体的に何をどれほど修正しなきゃならないかについては、
漠然と大変なんだろうとして、
それよりも売上、成長性をどう作るか、
コーポレートストーリーを描く方ばかりへ頭が回っていた。
先の見えない扉を開くことは、
チャレンジなんだと向かっていくことが、
ロマンだし運が試され、旅のようにワクワクするから。
そんな情緒的な理由と、
現実的には、一緒に頑張ってくれる仲間に良い思いをさせたい。
未来への足掛かりを作りたい。
そんな思いから走り出した。
株式上場は、100年企業へ、
プライベートカンパニーからバブリックカンパニーになる。
言葉にすれば、簡単な一行が、
実際は法令遵守の縛りが、サロンの現場に大きな負担をかける現実。
労務管理をきちんとするのに、
細かいことにとんでもなく時間と手間がかかる現実。
企業統治には、手続きだとか、仕組み、規定を作って、守ることの煩わしさ。
会計部門が整っていないことは、分かっていたけれど、
税務会計と上場会計の精度の違いについては、
指摘を受けて分かることばかり。
信用性を担保するのに、監査法人、監査役、内部監査役がチェックする。
信用性は大事だが、成長性にかけるパワーと信用性にかけるパワーとが、
AかBかという選択ではなく、AもBも同時という難しさ。
創業2〜3年のIT企業が上場に向かう場合は、
一斉に人が集まって、少ない社員数で一体感も生まれやすいだろうが、
創業30年、300人の会社は、過去のやり方と新しいやり方に軋轢が生じる。
上場に向かう会社の多くは、
「やってられねぇよ」と人が辞めていったりする中で、
ともにゴールを共有してくれる仲間がいることは本当にありがたい。
2022年の上場は延期という判断が、証券会社から言われ時は正直悔しかったが
考えてみれば「旅」というものは、そういうもの。
仕切り直しにはなったけれど、チャレンジすることで自分の勘違いが分かり、
修正、訂正が実学として分かっていく。
良い手本にはなれないかもしれないけれど、見本にはなれる。
見本は、人さまの参考になる。
ミルボンやスノーピークのように、
M.SLASHも人さまが応援したくなる会社を目指す。